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2012年12月31日 (月)

今年一年ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

 このブログ、昨年に比べると、ずいぶん執筆回数が少なく、中身も希薄になってしまいました。
 本年3月末で東京・築地本願寺を退職し、奈良の自坊に帰りました。同時に、本願寺派布教使として、阿弥陀さまよりいただくお念仏の話、仏願の生起本末の話をさせていただく機会もいただきました。そのベースになっているのは、この「畢竟依を帰命せよ」のなかで味わい、記してきたことです。どのような場所でも、どなたが聞いていてくださっても、阿弥陀さまの願いとはたらきをいただくほかはない、というところに帰ってくるほかはありません。

 幸い、樹心社ほかさまざまの方々のご尽力をいただき、今年11月1日に、この「畢竟依を帰命せよ」の一部をまとめて『われも六字のうちにこそ住め』(樹心社)として上梓することができました。仏法の話を聞く人によってその受け取り方はさまざまであるように、活字となって出版されたものも読む人によってその受け取り方はさまざまでしょう。しかし出版物となることで、手元に置いて、何度も読み返してしていただくことができます。腑に落ちるまで、何度も読んでいただければこれほどのよろこびはありません。また、腑に落ちなければ、ともに「一味の安心(あんじん)」を求めて、思いを分かち合うことができれば、これまたありがたいことであると思うのです。

 来年も、このブログは続きます。なんら展望があるわけではありませんが、仏法によって突き動かされる私自身の吐露となることには変わりはないと思います。
 今年一年、ありがとうございました。また来年も、ご愛読くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

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書評3 「仏教タイムス」2013(平成25)年1月1日号

 われも六字のうちにこそ住め

 各宗祖師やその後継者たちは、文書や口述、あるいは行動でもって自らの信じる道を他者に伝えたであろう。21世紀の現在、伝達と発信技術は格段に発展。本書は著者が解説しているブログ「畢竟依を帰命せよ」から生まれたものであり、その点では最先端技術から伝統的な教えの発信が可能になった。真宗には聞法や聴聞といった伝統があるが、ブログの発信もその一形態であろう。
 さて、タイトルの「われも六字のうちにこそ住め」というのは、蓮如の言葉から取られている。南無阿弥陀仏という六字の名号である。ここに込められている意味は何か、念仏とは何かといった問題意識を念頭に置き、時には自らに言い聞かせるかのように説いて行く。
 「阿弥陀さまは、つねに私の立場に立って共に苦しみ、共に涙を流し、共にほほえみ、共に歓喜してくださる方です」「私がどんなことを考え、何をしでかしても、そのままを許し見守り続けてくださる方です」
 念仏についても「条件を付けて称える念仏ではありません。阿弥陀如来が『称えよ』『称えてくれよ』と私に向かって願われている念仏なのです」と解説し、御利益的な呪文とは異なることを力説している。
 その念仏に対して著者は危機感を抱いているようだ。親鸞聖人750回大遠忌、「一番気になったことは念仏の声が聞こえないということでした」と嘆息。日常生活の場で称名念仏が縮小傾向にあり、「頭で理解する念仏」「観念の念仏」となってきたのではと推察し、「自力でコントロールする念仏に変わっていった」と吐露する。その処方箋の一つが「うれしいときも悲しいときも南無阿弥陀仏」というわけである。
 さらに鈴木大拙『妙好人』に登場する信仰者の心情を掲載。少し長めの詩のような体裁だが「ああ、恥ずかしや、南無阿弥陀仏」「ああ、有り難い、南無阿弥陀仏」が繰り返されている。このような日々の生活や聞法に根ざした念仏は、観念的な念仏に陥りやすい今日の真宗人への警鐘ともなろう。著者は奈良県の本願寺は萬行寺住職。(四六判・240頁・価格2100円)

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2012年12月30日 (日)

書評2 「文化時報」2012(平成24)年11月17日号

  われも六字のうちにこそ住め

 布教師として活躍する著者が2009年に開設し、多くの読者の支持を集める法話主体のブログを一冊にまとめた。これまでに著者が聞いてきた仏法を自らのうちで噛みしめ表した言葉は、親しみやすさと勢いを持ち、何度も読ませる文章となっている。
 南無阿弥陀仏のこころ、求道の歩み、称名念仏とともに生きる、の3章に、プロローグとエピローグを加えた全五章は、仏道を歩むとは何か、聴聞とは何か、そして念仏とともに生きる人生とは、と問い続ける著者の気づきがやわらかな言葉でつづられる。その内容は、蓮如上人の歌よりとられたタイトルの通り、「念仏のうちに住みたい」と願いつつも難しいと悩む人々にとって多くの示唆に富む。
「阿弥陀さまのお慈悲を聞くのは易き道と思ったけれど、そう簡単には聞けない。阿弥陀さまのお慈悲が無理難題なのではなく、聞く側がお慈悲を真受けすることができないだけのこと」と述べる著者の言葉に耳を傾け、“ひっかかる”箇所を何度も読み直して、心のうちに照射してみてほしい。
 定価2100円。樹心社(電話042-577-2778)。
 

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2012年12月29日 (土)

書評1 「中外日報」2012(平成24)年11月10日号

「仏になる教え」集大成

 奈良県宇陀市の西光義秀・浄土真宗本願派萬行寺住職が『われも六字のうちにこそ住め 信心をたまわりて生きる』を出版した。西光住職が3年前から始めたブログ「畢竟依を命帰せよ」を基に編集した。あとがきに「じっくり吟味して書くというより、ふだん感じたり、フッと思いついたことを勢いで書いたものが多い」とあるように、肩の凝らない文章で読みやすい。
 西光住職は「凡夫が仏になる教えが仏教です」という。そしてそれは「驚くべきこと」であるとして、次のように述べている。「仏教でいちばん大切なことは『わかる』ことではありません。どれだけわかっていても、わかったことが実践できなければ意味がないのです。仏教で大切なことは行や実践を『する』ことです。しかしどれだけ行事てみても中途半端なものであればこれまた意味がありません。仏教でいちばん大事なこと、究極の到達点は、仏に『なる』ことです。涅槃あるいはさとりを『得る』ことです」
 本書のタイトルは蓮如上人の作とされる「こいしくば 南無阿弥陀仏を とのうべし われも六字の うちにこそ住め」の歌に由来。上人は別れを悲しむ念仏者の老婆にこの歌を詠んだと伝えられている。西光住職は「仏法を聞くと、念仏するする者には死は別れではありません。念仏する人は、ともに阿弥陀さまの願いのなかに生きることができるのです」と述べている。
 信楽峻麿・元龍谷大学教授が「この本は、私たちの歩むべきまことのみちを明快に教えてくれている」と本書の推薦文を寄せている。定価2100円。樹心社(電話042・577・2778)刊。

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出版に至るまで(4)

仏書を読みあさるなかで、よく読んだのが東京都国立市にある樹心社の書籍でした。かつて読んだ槌田劭『共生の時代―使い捨て時代を超えて―』、室田武『雑木林の経済学』、花田正夫『生死巌頭を照らす光』という本が未だに出版案内に掲載されているのです。ほかにも池山栄吉、西本宗助、川畑愛義などの先生方の本もあります。最近は、宗教関係書籍はそんなに売れる本ではないし、売れない本は在庫として抱えず廃棄処分すると聞いていましたので、とてもうれしくなりました。
そんなことを思ってからしばらくして、思い切って樹心社に電話をして、原稿があることを話すと、亀岡社長が会ってくださるという。それからずいぶん時間が経過しましたが、京王線沿線の某駅前で待ち合わせをして亀岡社長と初めてお会いし、話をし、話を聞かせていただきました。
東京にこんなに濃い真宗関係の書籍を出す出版社があるという疑問が解けました。亀岡社長は山口のご出身で、若い頃から真宗の聞法歴があるのです。某出版社を辞められて樹心社を立ち上げ、出版事業を始められます。いまでは真宗関係の書籍だけではなく、社会、教育、福祉、生活等の出版を手がけておられますが、それでも真宗関係の書籍を出すことを優先してしまう・・・とおっしゃるのです。また、これまではこれぞと思う先生のところに足を運び、直接話をされ、この先生の本を出したいと思って出すのだという話にも感激しました。池山、花田、西本、川畑という高名な先生方の本は、そうしていう過程を通して出版に至ったというのです。
もし本として出せるなら、この出版社から出したいという思いは強くなるばかりでした。
まずは、どのような内容なのか、少しばかり原稿を見せて欲しいということでしたので、ブログを始めてから1ヶ月分の原稿を送り、その後、原稿をまとめてくださいという返事をいただきました。

 当初は出版などということなど意識することもなく書き始めたブログでしたが、いろんな人からの応援をいただき、また樹心社との不思議の出会いもあり、出版に至りました。先にも書きましたように、出版不況のなか、なかでもなかなか思うように売れない仏教書を、よくもまぁ出していただいたと樹心社社長亀岡邦生氏には感謝する次第です。
 出した以上は多くの方々に読んでいただきたい。もちろんそう思いますが、無理をお願いした以上は、迷惑のかからぬ程度に売れればいいけどなぁ・・・と思う次第です。

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2012年12月28日 (金)

出版に至るまで(3)

 書き始めてしばらく経過すると、何を書こうか結構悩むことがありました。そんななか、お聖教のなかで、比較的よく目を通していた『三帖和讃』を手がかりにして味わいを書くことが続きました。また『歎異抄』を読んで書くこともありました。
 『歎異抄』は9章まで書いたところで終わろうと思っていたら、Sさんに最後まで書くようにと強く言われました。またHさんからは、お聖教の解釈はどこでも読めるから、聖教にとらわれず自分の思いを書いてほしいとも言われました。読む人によってさまざまです。

 ブログ「畢竟依を帰命せよ」の諸データを見ると、読者は一日に50~60名来られているようです。毎日見に来てくれている人は20名ほどおられるようです。しかしその反応はほとんど聞くことはできません。そんななかでも、会ったとき、別の件で手紙やメールをもらったときなどに、ブログを読んでくれている感想や意見を聞かせてもらうことができました。毎日読みに来てくれている人がいること、時々聞かせてもらう感想や意見から、ブログを続ける力をもらった気がします。
 そんな力をもらいながらブログを続けることによって、毎日仏法とともに生きる自分の生活や思いと向き合うことができたと思います。このブログを続けるために、仏法との関わりを探し出す・・・ということがあったことを否定するものではありません。手段と目的が逆転してしまっているようですが、そういうことがあったから、生活と仏法との距離が縮まり重なるようになったような気がします。仏法大事と思っていても、自分の思いが優先した生活にかかりっきりになってしまっていますが、それを仏法の世界に引き戻してくれたようです。
 そのことがお聖教を読み、仏書を読みあさり、念仏の意味を深く味わうことにつながっていったようにも思います。
(そういうことからすると、ここしばらく気になりながらブログを書くことから離れてしまっていますから、わが思いが優先する生活になってしまっていますねぇ・・・)

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2012年12月 1日 (土)

出版に至るまで(2)

 2009(平成21)年の私の誕生日に、私が仏法をどのように聞いてきたのか、いまどう味わっているのか・・・ということをブログに記そうと思い立ちました。これまで何度も日記やブログを書き始めたことがあるのですが、たいてい三日坊主で終わってしまいました。今回はそんなことがないようにと、明確な目標を立てました。「1回1000字をメドに、毎日書く」と。
 何の気なしにこんな目標を立てても3日も続かないかもしれませんが、今回は“書きたい”し“書かねばならない”という二つの思いがあったように思います。そう決めた翌日の10月2日からブログを書き始めました。
 書き始めてから2週間ほどは、そんなに苦も無く書けました。炭酸の入ったジュースをよく振って栓を抜いた感じで、聞いてきたこと味わってきたことがあふれ出てきました。文章を推敲することも読み直すこともなく、勢いで書きました。1回1000字というのは、まったく苦にはなりませんでした。
 しかしそのうち枯れてきた・・・という感じでした。しかしお聖教を読むとあれも、これも書きたい書こうと、湧き出てきました。あまり難しい聖教は読めませんが、和讃はこれまで何度か味わってきたものや、それまであまりふれることがなかったものにも深く触れることができたと思っています。
 つらいのは飲酒の後に書かねばならなかったときです。ふだんはほとんど飲まないのですが、友人や同僚たちと外で飲むこともありました。そんなに回数があるわけではなかったので、そんなときは休んでもいいのでしょうが、休んでしまうともう書かなくなってしまうような気がしたのです。少し早めに帰り、熱めの風呂に入り、アルコールを抜いて(?)から書き始めました。

 ふだんの気づきをメモすることも始めました。フッと思ったことは書かなければ、たいてい忘れてしまいます。どのような場面においても、必ず気づきがあるものです。それをどんなものでもメモに残しておくだけで、後々の気づきとリンクしてくる自分の気持ちを発見できることを知りました。
 だからといってすべてのメモが使えるわけではありません。メモを参考に、気づきを整理したところでなかなか文章にならないこともありました。でも、フッと気づいて書き始めたら1000字が20分もかからず書けることもありました。そんな文章はほとんど訂正することはありませんでした。読み直してみても、文章の勢いを感じましたから。ほんとうに湧き出てきたという気がします。

『われも六字のうちにこそ住め』 樹心社
235ページ(19.4 x 13.4 x 2.4 cm)
ISBN-13: 978-4434173141
http://www.amazon.co.jp/s/ref=ntt_athr_dp_sr_1?_encoding=UTF8&field-author=%E8%A5%BF%E5%85%89%20%E7%BE%A9%E7%A7%80&search-alias=books-jp

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